布引の滝と北野異人館街
名古屋を車で5:00に出発して新神戸駅に8:00頃到着。
「布引の滝」は、「布引雌滝」、「鼓滝」、「夫婦滝」、「布引雄滝(主瀑)」の総称で、山陽新幹線の「新神戸」駅から徒歩10〜15分でいける。駐車場は、超高層ビルの「新神戸オリエンタルホテル」を利用(他に、このホテルの西側の駐車場や駅の駐車場等が利用できる。だいたい平日は、20分200円で上限1,800円というのがこの辺りの相場。しかし当日は土曜日だったのからか、3時間位駐車しても1,000円しか取られなかった。)。
このホテルの3階から新神戸駅には「渡り廊下」があり、登山道の入口はどこだと駅の改札の方へふらふらと。どうも違うらしい。あるのは改札、みどりの窓口、土産物屋、駅長室とトイレぐらいだ。滝方向(北)への出口などない。
「布引ハーブ園」・「ロープウェイ」の看板がさっきいた「新神戸オリエンタルホテル」の方向を指しているのに気づく。
ホテルへ戻り、階下へ下りていくと、ウェンディーズ(ハンバーガー店)があったので、ハンバーガーの朝食(久しぶり)。
店員に「登山口はどこですか?」と聞くと、「ロープウェイならわかりますが」というなんとも情けない返事(こいつは神戸人か?)。
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所詮無く、ロープウェイの方へふらふら行くと、地図看板があり、やはり新神戸駅の北側に登山口が書いてある(?)。
視点を変えるためにホテルの駅と反対側の出口(南側)から出て駅の方へ向うと「布引の滝」という看板があり、やはり駅の方を向いている(??)。暗澹たる気持ちでそれに続く看板をたよりに進むと、なんと新神戸駅の改札のある階の一つ下の階にでた。ここから、細いどぶ川(と相棒が言った。)とともに歩道に毛が生えたような細い道が駅をくぐっている。
なんとロマンがないことか?名古屋駅前の第三堀内ビルの地下の滝を見に行くほうがまだましな気分だ。「どぶ川」とともに駅をくぐると、新神戸駅の裏側。新幹線がじゃんじゃか走っている。
しばらくその「どぶ川」に沿って進むと家が何件かある。まもなく「布引雌滝から布引雄滝までは土砂崩れで通行止。迂回路を通るように」、との看板がある。ここまできて滝を見れないかも、という不安が横切ったが、なんとか最初の滝「布引雌滝」に到着。
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布引雌滝
<>布引の滝 この布引の滝は華厳の滝、那智の滝と並んでわが国の三大神瀑といわれております。それだけ昔から貴族、歌人などが多く訪れ詩などを多く詠んでいます。(園路沿いに歌碑がありますのでご覧ください。)
布引の滝は4つの滝(上流から雄滝、夫婦滝、鼓滝、雌滝)から成ります。この滝は雌滝で高さ19メートル。しなやかで上品な滝です。約200m上流には高さ43メートルの雄滝があり雄大な姿を呈しています。神戸市建設局中部事務所
ふーむ。この滝だけ見て帰るのも悲しいところがある。川沿いの道は「通行止」という看板で封鎖されている。しかたなく滝の右斜面の山道を登っていくとまた「通行止」の看板があり、頭上に、ガードレールがある道が見える。もっとまともな道もあるのだろうが、草むらをかき分け、ガードレールをまたいでその道に出る。
その道を進むと、先ほどの新神戸オリエンタルホテルが聳え立つ神戸市内を見下ろすことができる。
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雄滝の茶店で..写真がにがて?
まもなく、「布引雄滝」方向への分岐があり、その先に茶店がある。その茶店から「布引雄滝」を見下ろせる。
ここから下ると(途中、二匹の犬にさんざん吠えられる。相棒は上から来る観光客に吠えるのであって、動物好きの自分に吠えているのではない、なんて言っていたが、こんなところで犬を飼うな!と思う。)「布引雄滝」及び「夫婦滝」の正面の橋にでる。
「夫婦滝」は「布引雄滝」の滝壺から流れ出る滝である。
この両滝は、新神戸駅からとても近いが見事な滝であり、ぜひとも途中下車して見に行ってほしいもの。
「どぶ川」はいつのまにか清流になっている(というよりも、もともと「どぶ川」ではなかったかも。)。通行止のため見ることができないのは「鼓滝」だけであったが、小さな滝ということもあり、布引雄滝を見れば十分満足。
藤原 良清
音にのみ聞こえしはことの数ならで
名よりも高き布引の滝
藤原良清(生没年不詳)、平安朝歌人。
勅撰作者部類によれば、右馬頭藤原範綱の子で、太皇太后宮少進(太皇太后宮に関する役所の三等官)である。千載集には三首の歌をのこす。 この歌も千載集にあるもので「布引の滝をよめる」との題がある。音の縁で琴をひびかせ同時に事の数と数多いことを示し、布引の滝はたいへん名高いがその数多い名でなくて、即ちその高名さよりなお滝が高いとその雄大さを言っている。伊勢物語では「長さ二十丈広さ五丈程の岩の面を白絹で包んだ様」とあるが、雄雌と分離されず一本で長年月の変化が思われる。(現地の句碑より)
藤原 良経
山人の衣なるらさ白妙の
月に晒せる布引の滝
藤原良経(嘉応元1169〜天久三1206)平安末鎌倉期歌人
父は関白藤原兼実で、良経もまた太政大臣になった。歌人としても重要な存在で歌壇活動を活発にした。後鳥羽院の信任厚く和歌所の寄人筆頭となり、新古今撰進に大いに貢献した。
この歌は続古今集にもあるが、彼の歌集「秋篠月清集」によれば、建仁元年1201後鳥羽院などと共に詠んだ「院句題五十首」の作で、月照清水という題である。月光を浴びて滝水が真白に晒される風情で、人間界のものでなく
まさに山人即ち仙人の衣であるようだとの趣向である。
(現地の句碑より)
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布引雄滝
布引夫婦滝
藤原 俊成
いかなれや雲間も見えぬ五月雨に
さらし添えらむ布引の滝
藤原俊成(永久ニ1114〜元久元1204)官職は皇太后宮大夫となったが、出家して釈阿を号した。九十一歳の長寿を保ったが、千載集撰進以後は鎌倉期にかけて歌壇の長老として後進を指導した。
幽玄美を理想としたが、それがやがて余情余韻ゆたかな新古今歌風を生み出す母胎となった。この歌は治永二年1178五月右大臣家百首に「五月雨」の題で詠まれたものである(後略)。
(現地の句碑より)
その他説明文は省略するが下記のような句碑がある。
源 義信
白雲とよそに見つれど足曳の
山もとどろに落つる滝津瀬
橘 長盛
ぬしなくて晒せる布を欄はたに
我こころとやけふはかさまし
藤原有家朝臣
久かたの天津乙女の夏衣
雲井にさらす布引の滝
在原行平朝臣
こきちらすたきのしら玉拾ひおきて
世のうきときのなみだにぞかる
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北野異人館街
せっかく神戸にきたら「北野異人館街」は是非とも立ち寄りたいもの。下に紹介(?)するもの以外にも多くの異人館がある。ただしどこに入場するのにも300円位取られるので、カップルは十分小銭を貯めてからいこう..。
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布引の滝から異人館へ向う山道で
布引の滝から下山し、新幹線下をくぐらずに右折すると、山道(約1.1km)経由で北野異人館街へ向うことができる。山道はなだらかで、神戸市内を見渡せる「港みはらし台」もある。 折角神戸まで来たのだから「布引の滝」のおまけに「異人館街」を見ていこう(普通の人は逆か?「異人館街」を見るついでに「布引の滝」を、ということになるのかな?)。
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デンマーク館
山道を下りてきて最初に目にするのが、このデンマーク館とオーストリア館だ。大麦若葉、もとい「NHK連続テレビ小説」の「わかばちゃん」もこの辺りで頑張っている?
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風見鶏の館(旧トーマス住宅)
中曽根さんが住んでいたわけではなさそうだ(ゲゲッ、ふ、古い!)。異人館街のシンボル的存在。この館の前にちょっとした広場があり灰皿があるのでくつろごう。 |
旧パナマ領事館
この前の坂道をずっと下っていくと新神戸駅に出る。付近では新築マンションも分譲しており、ベンツ・セルシオ等の高級車がその駐車場に並んでいる。
またカップルも多く、さすが、伝統ある神戸ファッションは名古屋嬢よりもちょびっと垢抜けしているように感じる(気のせいか?)。
ファッションは、それを着て歩く街との調和にあり、街が美しいとファッションも映えるということかも。
2005年1月8日
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■ご参考
名古屋から2人で新幹線で新神戸まで往復すると7,850円(片道・一人)×4=31,400円かかるので、やはり車が断然お得!
つまり、名古屋西ICから東・西名阪道路+阪神高速を利用し生田川ICで出ると3,550円(片道)×2=7,100円、駐車料金は半日位で1,000円、往復約400kmなのでガソリン代4,500円として合計12,600円でいける。
燃費の良いマーチではもっとお得だ。
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箕面公園と 箕面滝
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箕面公園
箕面滝は、箕面公園内にある。駐車場は、市内に多々あるようだ。とりあえず駅付近の立体駐車場に車を入れる。またここでも、登山口がわからず、箕面公園の東を取り巻いているドライブウェイ(府道豊中亀岡線)を登ってしまった。まさか正規の入口が駅の正面の商店街を抜けていくとは予想もしなかった。このおかげで、本来、駅から滝まで正規のルートを通ると片道2.8kmぐらいで着くのが、少なくとも4km以上歩いた気がする。
この府道を登る羽目になったのは、府道の上の青い道路案内板に「箕面公園(直進)」と書いてあったからだ。それから先は、進めど進めど
ほとんど人に合わず、たいした案内板もない。車はびゅんびゅん走っている。途中「東芝箕面保養所」があった。
ただし非常に残念なことをあえて言わざる得ない。府道の両脇の山中には不法投棄のごみの山また山。テレビ、折りたたみ椅子等ありとあらゆるものが捨てられており、今まで行った滝参道の中では、裏参道といえ最悪の印象を受けた(我が家のベランダも同じだが)。途中、大きなビニール袋でごみを集めている人がいたが、これは「焼け石に水」どころか、「太陽にすずめの涙」である。 |
府道から大阪平野を
この府道からは大阪府を一望できる。 しばらく進むと、山猿群団に出会う。ほとんどが母猿と小猿のカップル。寒いので、日当たりの悪い谷のほうでなく、風も無く穏やかで日当たりのいい尾根の府道に出てきたものと思われる。
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箕面の山猿
「猿には、@食べ物を与えない。A食べ物を見せない。B近寄らないで無視する。」の三原則を守るようにという看板がある。このあたりではそれが徹底されているのか、猿は野生のままで、われわれに近づいてくることはなかった。
道に猿の糞がごろごろしていたのはどうってことはないが。しかしゴミと糞...。
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箕面滝
府道をかなり進むとようやく滝が左下に見えてくる。滝に向って左側へ下りていくと、なんと土産物店が立ち並ぶ。また観光客も多く、どこから人が湧いてきたのだ、と思ってしまうが、我々が通ってきた道が根本的に間違っていたのだ。
相棒から「だまされた」と言われたが、「行きと帰りは違う道がいいと思って...。」とひたすら釈明。どうやら先ほどの神戸といい箕面といい、「滝の入口」に腐心した旅となった。
瀧前句碑
昭和三十二年十月建立
瀧の上に水現れて落ちにけり
後藤夜半(神戸の俳人)ホトトギス派
この俳句は戦前全国名所俳句募集の瀧の部第一位入選作です。
大阪北公園事務所
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遊歩道
我々は尾根を歩いてきたのだが、谷底にはこのような立派な遊歩道があった。帰りはこの遊歩道を下る。駅まで2.8kmとかなりある、のだが、下っているからかそれほどきつく感じない。 またこの遊歩道のあちこちに最新のトイレから朽ちたトイレまである。女性は安心?
頼山陽句碑
萬珠、沫を濺いで、秋暉に砕く。仰ぎ視る懸泉の、翠微を割するを。
山風、意を作して、氣勢を爭ひ。横さまに、紅葉を吹いて、満前に飛ばしむ。 頼 山陽 (読者)大阪の漢学者 故木崎 好尚
お猿さん、わかりましたか?
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野口英世像
途中、「野口英世」の像がある。新千円札よりも若々しく希望に満ちている。「野口英世」の功績を忘れた方は次の碑文を参照してくださいね!千円札がとてもありがたくなりますよ。
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碑文
故野口英世博士は科学者として数々の病原体の発見と絶滅に死を賭けて闘い人々を黄熱病から救い また人として かって箕面の風光に老母を慰め孝養を盡くされた。これに感激した南川光枝氏の銅像建立の願に、大阪府知事 箕面町長 箕面町教育委員會は 府下學童並びに箕面町ゆかりの方から淨財を求め、博士生前の面影を剞み廣ぐる人類の恩人として稱へ 一世の師範として その崇高な人格を慕い ここに建立の由来を錣り碑文とする。
昭和三十年十一月吉日 大阪府知事 赤間 文三記
料亭?
滝道の入口付近まで下りてくると、このような風情のある建物が見えてくる。
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滝道の入口
ようやく滝道の入口まで下りてきた。入口は、駅に面した商店街なのだ。この街自体が「箕面滝」を擁する箕面公園への観光客で栄えてきたということが想像できる。
名物は「もみじの天ぷら」と「もみじ饅頭」である。「もみじ饅頭」は有名な広島の物と形も同じように見える。
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阪急箕面駅
電車でくれば、駅前に大きな看板があるので迷うことはなかったかもしれない。駅から滝まで往復5.6kmなので健康にとっても最適な距離。遊歩道を走って登るアスリーター(?)にも何人か出会った。
2005年1月8日
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