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紅葉の甲州の滝と白糸の滝

散策が楽しい3つの紅葉の渓谷を辿り名瀑へ

山梨県にある三つの「滝百選の滝」では、それぞれ紅葉がみごとであり、また滝に到達するための途中の渓谷にも見ごたえがある。今回は西沢渓谷の「七つ釜五段の滝」、紅葉が見事な昇仙峡の「仙娥滝」、南アルプス鳳凰山山麓の「北精進ケ滝」、そして帰りに立ち寄った、静岡県の有名な富士山麓の「白糸・音止滝」の旅行記です。
はYafooの地図です。適宜縮尺を変えて付近の道や位置関係を確認ください。


滝名場所 徒歩の高低
32七ツ釜五段の滝山梨県三富村約300m
34仙娥滝山梨県甲府市約50m
33北精進ヶ滝山梨県武川村200m程度
50白糸・音止の滝静岡県富士宮市下り50m以下



紅葉の西沢渓谷と 七つ釜五段の滝
名古屋「一宮IC」から中央高速道路で山梨県「一宮御坂IC」へ。そこから北上し国道140号に入り「道の駅みとみ」を越えて雁坂トンネル前の西沢大橋手前を右に入ると駐車場がある。11月6日、名古屋出発がAM3:00。現地に着いたのがAM7:00前。このように早く出たのは、ここは秩父往還(国道140号)雁坂トンネルが開通してから、関東地方から手軽に来ることができるようになり、この方面からの観光客が多く、駐車場が順番待ちになるという情報を事前に得ていたため。


まだ肌寒いAM7:00。なのに登山道入口に近い無料駐車場は満車になる一歩手前。駐車場に入れればもう心配はいらない。おもむろにトレッキングシューズに履き替え軍手をはめて、レーズンロールとペットボトルをリュックに詰め込み、さあ出発。あたりは一面オレンジ色や黄色に紅葉している。すばらしい。これから約5時間の散策が始まる。笛吹川の右岸をせせらぎを聞きながら、舗装された遊歩道を快適に歩く。途中「ナレイ沢」にかかる橋の下から、快い水の調べ。1km程ゆったりと進むと「登山者受付」がある。先の「黒金山」方面まで行く人は、ここで登山者名簿に記名しないといけないらしい。

西沢渓谷の紅葉

ヌク沢を越える橋を渡るといよいよ登山道入口だ。「東沢渓谷立入禁止、危険」という趣旨の看板がいくつかある。東沢渓谷の入口は、その先の二股吊橋を超えたところ。危険と聞くと覘いてみたくなるのは人情か?でもここは社会人として正規のルートへ。河岸の紅葉を楽しみながら先へと進む。

三重滝

渓谷をアップダウンしながら進み「大久保の滝」、「魚止滝」を越えると、「七ツ釜五段の滝」の前座ともいえる「三重滝」が現れる。「これ以上登っても紅葉はないよ。引き返そう。」等とふとどき者どもの声もする。
しかし、その後は、「人面洞」「竜神の滝」「恋糸の滝」「貞泉の滝」「母胎淵」が次々と現れる。景観を楽しみながら進めるので片道4kmという距離はあまり気にならない。但し、鎖場等も現れ徐々に登山道は険しくなっていく。

七ツ釜五段の滝

方丈橋あたりからにわかに辺りが緊張してくる。姿は見えないが瀑音が少しずつ高まってくるからだ。橋の先のきつい階段を登るのは、それへの期待で苦とはならない。階段を登りきった瞬間、目の前に「七ツ釜五段の滝」の最下段が現れる。
「七ツ釜五段の滝」に後ろ髪を引かれながらさらに進むと、後座ともいえる「不動滝」が現れる。ここから「西沢渓谷終点」まで階段を100mぐらい一気に登らないといけない。これはつらい。何度か休憩し、後から来る登山者に「どうぞお先に」と声をかけると、「いえいえそちらこそどうぞお先に」という返事が戻ってくる。

大展望台からの紅葉

ついに登りきると休憩所があり、仮説トイレが2つある。看板には「西沢渓谷登山者の強い要望から建てられたが、一日200人分しか処理できないので、がまんできる人は麓まで我慢するように。」と書いてある。200人分とは大か小かわからなかったが、とりあえずそのあたりで朝食のレーズンパンとペットボトルを。

ここから山肌を辿る下山道は、予想に反してとても「楽」。この道はその昔、西沢渓谷の奥から木材を積み出すトロッコが走っていたのだ。あちこちにレールの残骸がある。登りは馬がトロッコを引っ張り、帰りはブレーキだけで下りてきたとのこと。したがって、距離は長いが広く緩やかな下り坂が続きアップダウンがない。ところどころ、トロッコがひっくり返り転落したところにその記念の名称がついている。また最近、立派な鉄の橋がいくつも架けられ歩きやすい。木々の間から「七ツ釜五段の滝」の全景が小さく見える。そして最後の名所の「大展望台」から見事な紅葉の山々を眺めることができる。

「登山者受付」まで下山すると、何とこれから山に入ろうとする人また人。老若男女。まるで野球観戦の帰りの行列のようだ。さすがに皆トレッキングシューズか運動靴を履いている。弁当が入っているビニール袋を持った一団。背広を着た旅行会社の人。警察官や山岳救助隊も多く待機していていた。動物連れはとても危険であること、ハイヒールやサンダルは厳禁。滝壺に落ちると二度と浮上しないと書いてあるチラシも積んであった。
駐車場も、入る車と出る車で詰まってしまい、脱出するのが大変であった。
ともあれ5時間にわたるトレッキングを終えた後は「道の駅みとみ」で「きのこ蕎麦」を賞味し、いざ「昇仙峡」へ。
2004年11月6日

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絶景の登仙峡と 仙娥滝
西沢渓谷から国道140号線を南下し甲府市内に入る。甲府市内から昇仙峡に向かう道はけっこう細くてややっこしいが、ここはカーナビの力で通り抜ける。
昇仙峡の中央に「県営駐車場」があり、ここから1.7km上流の仙娥滝の先の「市営駐車場」を目指して渓谷沿いに歩いていくことにした。なお県営駐車場に駐車できたのは、本当に幸運。たまたま出発する車があったからで、駐車場も辺りの道も車でびっしり。
渓谷沿いの遊歩道もお祭りの屋台の間のように、観光客で溢れ返っていた。西沢渓谷は登山であったが、こちらは観光地そのもの。ハイヒール、つっかけ、サンダル。相棒のリュックの「熊避け鈴」が、まるでお遍路の鈴のように場違いに聞こえた。

昇仙峡

駐車場から昇仙峡の川「荒川」河岸に下りると宝石博物館やみやげ物店が並んでいる。そこから少し進むと紅葉の中、奇形の覚円峰が聳え立つのが目に入る。


覚円峰

人の流れにのってゆっくり上流に向かうと、紅葉の間から奇岩の数々を見ることができる。「石門」と呼ばれる洞窟をくぐると遊歩道が始まる。 昇仙峡の紅葉は、本当に鮮やかである。カメラを持った観光客が、いったいどこにアングルを向けて撮影すればいいのかと悩むほどあちこちが紅葉していた。「夢の松島」と呼ばれているあたりからは、原色の紅葉の間に覚円峰の奇岩を望める。見事としか言いようがない。

昇仙峡の紅葉

しばらく進むと、瀑音が次第に高まり仙娥滝が出現する。このちょっと上に市営駐車場があるため、上から下ってきた観光客と、下から登ってきた観光客とでごっちゃがえしていたが、なんとかもぐりこみじっくりと写真を撮った。
落差30mとのこと。左側の良く磨かれた一枚の岩盤が美しい。豪快な滝を見ながら緩やかな階段を登っていくと、アメジスト(紫水晶)の原石やそれを加工したアクセサリの土産物屋が立ち並ぶ。また「世界で二番目に美味しい」と鳴り物入りの「巨峰アイスクリーム」を食べる。それから今来た道をもとの駐車場まで戻る。

仙娥滝

当日は早めに甲府市内のビジネスホテルにチェックイン。
甲府の繁華街は人通りが少ない。夕食をとる店を探すのにも苦労したが、意を決して入った韓国料理店では烏龍茶が一杯1,000円でびっくりした。名古屋の錦なみか。。。
なお、ビジネスホテルでは、日テレ系、TBS系の地元の2つの民放以外に、東京のフジテレビ、テレ朝、テレビ東京も見ることができ、テレビに関しては山梨県民はさほど苦労していないと思った。
2004年11月6日

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南アルプスに抱かれた 北精進ケ滝
前日の二つの滝がいずれも登山客・観光客で溢れていたので、今日も甲府をまだ薄暗いAM6:00に出発。
甲府昭和ICから中央高速道路に入り須玉ICで出口右折、高速をくぐったらすぐに左折しまた高速をくぐり、旧武川村中心に向かう。国道20号を横切り「精進ケ滝」の看板が出てくるまで直進する(ちょっとわかりにくいので詳しく書きました。)。しばらく進むと、木々の間から朝日が漏れる爽やかな林道になる。道は細いが舗装は比較的良い。駐車場は20台位しか停められないと聞いていたので、満車ではないかと心配していたが、いざ着いてみたらなんと一番乗り。。。

トレッキングシューズに履き替えていると、2台目の車が来た。今から出発ですか?と聞くと、いや子供がいるもんで今から朝食ですよ、、、、とのこと。熊が心配なので、他の人が来るまで待とうかとも思ったが、意を決して登山開始。相棒の「熊避け鈴」がこのときほど心強かったことはない。

登山道入口の吊橋

爽やかな朝。空気は冷たい。早速この吊橋を渡って一番乗り。空は晴れ渡り、紅葉が輝く樹木の間をぬってさくさく歩ける。なお滝まで40分という看板がある。

一の滝と二の滝

この辺りからそろそろ道は険しくなる。幅30cm位で片側しか手すりのない橋などアドベンチャー気分も盛り上がる。下の滝が「一の滝(魚止の滝)」上の滝が「ニの滝(初見の滝)」、さらにこの上に「三の滝(見返の滝)」がある。「一の滝」と「二の滝」の間に吊橋が見える。

登山道

さらに進むと、急な鉄階段、3人以上渡れない登りの橋(上の写真)が続く。また岩上の赤い字で道を示しているところもあり、楽しいアドベンチャー気分。帰りに相棒は滑って尻餅をついた。。。軍手をしているのだから手足を使って進もう。
登山道を30分位登ると滝見台に到達する。その正面の峡谷のかなり高いところにあるのが「北精進ケ滝」。下に見えているのは「九段の滝」という。誰もいない滝見台でスティックのパンをほうばりながら過ごす朝は最高であった。
上の部分の「北精進ケ滝」だけで落差121mとのこと。

石空川は、鳳凰三山地蔵岳に源を発する大武川水系最大の支流です。 奥に見える「精進ケ滝」は標高1400m付近に位置する南アルプス有数の巨瀑で東日本最大の高さ121mを誇っています。その昔神仏に祈願するためこの滝を浴び身を清めたことが名の由来です。また小武川支流ドンドコ沢にある南精進ケ滝に対して「北精進ケ滝」とも呼ばれています。 一方、手前に見える滝は「九段の滝」で、その形状からこの名前がつけられました。 平成2年4月、日本の滝百選に選定。武川村
(看板より)

下山途中でようやく3組の夫婦に会う。「もう行かれたのですか?」「滝は見えますか?」等質問され、「ちょっと危ないところもありますよ。」「滝は十分見えます!」と爽やかな会話を交わしたのであった。

北精進ケ滝

帰りの林道では南アルプスの名峰「甲斐駒ケ岳」が碧空の中で輝いていた。。
2004年11月7日

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旅の終わりは 音止・白糸の滝 でのんびりと
山梨県の3つの「滝百選の滝」を巡り、最後に南アルプスの静岡県側にある「安部の大滝」を目指す。国道52号線を南下し、「広域基幹林道豊岡梅ケ島線 」に入る。この26kmの林道で安部峠を越えれば「安部の大滝」ももう一歩。わくわくしながら離合困難な絶壁の林道を登る。20km位進み、山梨県側から静岡県側に入ろうとしたとたんゲートが閉じられていて通行止!対向車も多かったのでてっきり静岡県側から来たものだと思っていたが、実はこの峠付近の見事な紅葉を撮影しにきた人たちばかりだったのだ。「どこでUターンするんだ」と思うような絶壁だったが、相棒に誘導してもらい何とかUターン。今来た絶壁の細道をがっかりしながら20kmも下り、富士山麓の「白糸の滝」へ向かうことにした。


音止の滝

音止めの滝「おとどめのたき」
高さ約二五メートル、幅五メートル
水量は富士山への積雪、上流部への降水量等により大きく左右されます。
この滝の名前の由来は、建人四年五月二十八日(約八百年前)曾我の五郎、十郎兄弟が父、河津三郎祐泰(?)を工藤祐経に殺された仇を富士の巻き狩り(?)のさいに討とうと考えて祐経の陣屋近くの隠れ岩で相談したさい、近くの滝の音があまりにもうるさくて密談しにくいことを神に呟いたところ、滝の音がピタリと止まり、無事討ち入りの相談ができました。それ以来「音止の滝」とよばれるようになったとの伝説からきています。
(現地の看板より)

音止の滝の滝壺近くの虹

徐々に滝から遠ざかっておりあわてて撮影

「白糸の滝」に最も近い駐車場(と看板があった。500円)から少し歩くと豪快な「音止の滝」が見える。ここは土産物店前の道の反対側の柵越しに見ることになるので、観光客でごっちゃがえしている。当日は天気がよかったこともあり、滝つぼあたりに虹が出ていた。
幅5m落差25mとのこと。
2004年11月7日

白糸の滝

「音止滝」から土産店を挟んで「白糸の滝」が見える。その先から階段を下りるのだが、「この階段下りるの〜?」というどこかの甘ったれた女性の声。その声に困惑した表情の彼氏(?)。
ちょっと大衆化されすぎているのは残念だが、ともあれ天気が良く、滝の中間に虹もかかっていた(拡大写真でも見えるよ!)。
「白糸の滝」を見た後、「音止滝」の上にある洒落た「蕎麦屋兼カレー店兼アイスクリーム店」の屋外のテラスで、掻揚蕎麦を賞味する。滝音が快く、爽やかな微風の中で、この季節にしてはポカポカした午後のひと時をくつろいでノンビリ過ごした。。(つまり蕎麦が出てくるのが遅かったということか?)
白糸の滝は高さ26m、幅200mとのこと。
二日間の総走行距離は830km。

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